目次
キリマンジャロ登山ツアー/キリマンジャロ山とは/キリマンジャロ登山について/高所登山について/高山病対策/準備とトレーニング/登山ルート/登山装備/登山中の食事/チップ/レスキュー
キリマンジャロ登山ツアー
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キリマンジャロ山とは
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キリマンジャロ、国境線を曲げた「アフリカ最高峰」の歴史
アフリカ大陸の最高峰、キリマンジャロ。この山は東アフリカのタンザニア連合共和国に位置している。しかし、その領土の成り立ちには、植民地時代の数奇な歴史が刻まれている。
かつてヨーロッパ列強によるアフリカ分割が進む中、キリマンジャロはイギリス領(現ケニア)とドイツ領(現タンザニア)の境界線上にあった。事態が動いたのは19世紀後半である。キリマンジャロが大陸最高峰であることを知ったドイツ皇帝ヴィルヘルム1世は、イギリスに対して国境線の変更を強く要求したのだ。
この要求は1885年のベルリン会議で承認され、山体はドイツへと割譲された。その結果、本来であれば直線となるはずの国境線は、キリマンジャロを包み込むようにして不自然に湾曲している。今日、山麓を含むキリマンジャロのすべてがタンザニア領となっているのは、この時の合意によるものだ。
なぜ、これほど大胆な領土変更が容易に受け入れられたのか。その背景には、当時の王室間の深い血縁関係があった。ヴィルヘルム1世の息子であるフリードリヒ3世の妻は、イギリスのヴィクトリア女王の第一王女である。いわば親類同士の「家族会議」に近い親密な交渉が、アフリカ最高峰の帰属を決定づけたといえる。

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セブンサミッツの1座
標高5,895mを誇るアフリカ大陸最高峰、キリマンジャロ。世界七大陸最高峰(セブンサミッツ)の一角でありながら、特殊な登攀技術を必要としないため、一般の登山愛好家でも登頂を狙える稀有な名峰である。
日本においてその知名度が飛躍的に高まったのは、2009年のことだ。人気テレビ番組の企画でタレントのイモトアヤコ氏が登頂に成功したことを機に、挑戦を志す登山者が急増した。
最大の魅力は、その登りやすさにある。赤道直下に位置するため、6,000m近い標高がありながら本格的な雪山装備は不要だ。「冬」という概念がなく、一年を通じて登頂に挑める点も大きな利点と言える。ただし、熱帯特有の雨季が存在するため、快適な登山を楽しむのであれば、この時期(大雨季3月末~5月、小雨季11月~1月)を避けた計画が賢明だ。

①アジア最高峰:エベレスト 8848m
②南アメリカ最高峰:アコンカグア 6961m
③北アメリカ最高峰:デナリ 6190m
④アフリカ最高峰:キリマンジャロ 5895m
⑤ヨーロッパ最高峰:エルブルス 5642m
⑥南極最高峰:ヴィンソンマシフ 4892m
⑦オセアニア最高峰:カルステンツ 4884m -
キリマンジャロ山の標高
キリマンジャロ山は、シーラ峰(3,962m)、マウェンジ峰(5,149m)、そして最高峰のキボ峰(5,895m)という、独立した三つの火山丘から構成されている。
その形成プロセスは、最も古いシーラ峰の火山活動から始まり、次いでマウェンジ峰、最後に現在の主峰であるキボ峰へと移行した。キボ峰の山頂火口は約15万〜20万年前に形成されたと考えられているが、現在もなお火山活動が完全に終息したわけではないとも言われている。
一方で、人類の歴史が始まって以降、キリマンジャロにおいて大規模な噴火の記録は残されていない。悠久の時を経て、この巨大な成層火山は現在のような穏やかで威厳ある姿へと至ったのである。

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キリマンジャロ山の最高地点5895m
上記でも説明しましたがキリマンジャロは3つのピークからなります。
その中の最高峰がキボ峰で、キボ峰の最高地点をウフルピークと呼びます。
ウフルとはスワヒリ語で「自由」を意味し、1961年のタンザニア独立を記念してキリマンジャロ山の最高地点をウフルピークと命名しました。

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キリマンジャロの氷河
アフリカの灼熱の空に、場違いなほど真っ白な輝きを放つ氷の塊。 かつて山頂を埋め尽くしていたその「氷河」は、いまやそのほとんどが、静かに、けれど確実に姿を消そうとしています。
それでも、ウフルピークを目指して歩みを進めれば、登山道の脇にはいまも南側の氷河が残っています。青白い光を湛えたその圧倒的な質量は、私たちが生きる日常の尺度を超えた、地球の記憶そのもの。
けれど、その光景はあまりに脆い。
私は年に2度のペースでこの山に登っていますが、山頂を訪れるたび、前回までそこにあったはずの氷が、目に見えて削り取られ、小さくなっているのが分かります。
ここに、私が撮影した二枚の写真があります。 2004年の雄大な姿と、2019年のどこか寂しげな姿。 並べてみれば、言葉などいらないでしょう。たった15年という歳月が、悠久の時をかけて育まれた氷の芸術を、ここまで変えてしまったのです。
この氷河に出会える日々は、もう長くはありません。 あと数年か、それとも。
空気の薄さに喘ぎながら、自分の足で辿り着き、その冷たさを、その美しさを、その輝きが残っているうちに、その目で確かめてほしい。キリマンジャロが、あなたを待っています。
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富士山とキリマンジャロの比較
富士山とキリマンジャロを並べるとサイズ感はこんな感じになります。
富士山の頂上の標高がキリマンジャロの2日目のキャンプ地(シーラキャンプ)の標高と同じくらいです。

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キリマンジャロ登山について
キリマンジャロ(5,895m)は、高度な登攀技術を要さずとも登頂の機会が開かれている、世界最高峰の山の一つです。しかし、それは決して「容易な山」であることを意味しません。経験の有無を問わず、成否を分けるのは入念な準備と適切な高度順応にあります。
「誰もが挑戦でき、誰もが登頂の可能性を持つ。しかし、結果は準備の質に委ねられる」
この真摯な挑戦に向けた、具体的な基本情報を以下に網羅いたします。
1. 登山ルートと最適シーズン
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主要ルート: 全5ルートのうち、山小屋が完備された「マラングルート」が最も一般的です。日本人登山客の約9割がこのルートを選択します。他にはマチャメ(25%)、ロンガイ(15%)などがあり、これらはテント泊となります。
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ベストシーズン: 赤道直下に位置するため通年登山が可能ですが、天候が安定する1〜2月、および乾季の7〜9月が推奨されます。
2. 万全なサポート体制
キリマンジャロ登山は、現地の専門スタッフによるチーム制で運営されます。
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ガイド: 登山者数に応じた人数が同行し、安全を管理します。ペース配分については、遠慮なくガイドに意思を伝えてください。
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ポーター: 登山者1名につき3名が随行し、テント、食料、就寝用装備などを搬送します。ご自身は、行動中に必要な装備(雨具、ヘッドランプ、行動食等)のみを携行してください。
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コック・ウェイター: 専任スタッフが全行程の食事を提供します。ベジタリアン対応も可能です。
3. 装備と衛生管理
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宿泊と用具: マラングルート以外はテント泊となりますが、設営はすべてポーターが行います。テントやマットレスのレンタルは費用に含まれており、日本から大型装備を持参する必要はありません。
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飲料水の確保: ポーターが汲み上げ、煮沸消毒した水が毎朝提供されます。なお、環境保護の観点から小型ペットボトル(500ml〜1L)の持ち込みは厳禁です。ナルゲン等のマイボトルの持参が必須となります。
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熱源: コックが沸かしたお湯が随時提供されるため、ガスクッカー等の持参は不要です。
4. 登山日数
標準的な行程は5泊6日ですが、ルートやチームにより前後します。
マラングルートとロンガイルートは5泊6日、マチャメルートとレモショルートは6泊7日で登るのがスタンダードです。
キリマンジャロ、4つの「環境リスク」と対策
1. 低酸素環境と急性高山病(AMS)
標高の上昇に伴い酸素濃度は低下し、血中ヘモグロビンの酸素飽和度が減少することで、身体機能に様々な障害を及ぼします。
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リスク: 急性高山病の発症。呼吸機能の個人差等により、低酸素状態への陥りやすさは異なります。
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対策: 「スローペースでの歩行」「体温維持」「十分な水分摂取」「意識的な呼吸」を徹底してください。過度な不安は不要ですが、個々の徹底した自己管理が登頂の可否を左右します。
2. 低温による身体機能への影響
標高が152m上がるごとに気温は約1℃低下します。登山口から山頂までの標高差は約4,000mにおよび、気温差は26℃以上に達します。
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リスク: 頂上付近はマイナス10℃に達し、寒冷による代謝低下や利尿作用による脱水を招きます。
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対策: 日本の雪山以上に厳重な防寒対策が必要です。高所では酸素不足により運動強度が下がるため、自律的な体温上昇が期待できません。高性能な防寒着に加え、温かい飲料やカイロ等の準備を推奨します。
3. 乾燥と脱水症
高所の空気は著しく乾燥しており、呼吸数の増加に伴い体内水分は急速に失われます。
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リスク: 標高5,500mでの軽運動時、呼吸のみで失われる水分は1時間あたり約200mlと推定されています。サミットプッシュ(約10時間)では、計2リットルの水分が喪失する計算となります。脱水による血液の濃縮は、血栓形成のリスクを高めます。
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対策: 山頂アタック時には最低1.5〜2リットルの水を携行し、喉の渇きを感じる前にこまめに摂取してください。1日を通じて3〜4リットルの水分補給を基本戦略とします。
4. 強烈な紫外線
空気層の薄さと乾燥により、太陽光の散乱が抑えられるため、人体が受ける日射量は平地と比較して約50%増加します。
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リスク: 稀だが積雪時の地表面の反射率は最大90%に達し、深刻な日焼けや雪盲(失明のリスク)を引き起こします。唇が日焼けで血だらけになった事例もあります。
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対策: サングラス、帽子、高機能な日焼け止めの使用は「必須」です。特に露出部(鼻、唇)の保護を怠ると、深刻な炎症を招く恐れがあります。性別を問わず、徹底した遮光・保湿対策を講じてください。
高山病対策
高山病とは、高地において低気圧、低酸素に順応できないことにより人体に生じる一連の症状の総称のことです。
キリマンジャロ登山において登頂を断念するに至る原因の9割以上がこの高山病と言えるでしょう。
したがって、より確実な登頂を目指すに当たり、高山病についてよく理解しておく必要があります。
高山病のなりやすさにはかなり個人差があり、若くて健康だろうとも、普段からトレーニングをしていようとも、なる時はなります。
また、高山病の発症率に男女差はありません。
主な高山病の症状は以下の通りです。
高山病の症状
| 症状 | |
|---|---|
| 初期段階 | 軽い頭痛、吐き気、食欲不振、よく眠れない、だるさ、運動中の息切れ、むくみ、等 |
| 中期段階 | ひどい頭痛、激しい嘔吐、下痢、少し動いただけで激しい息切れ、空咳、等 |
| 重篤 | 高地肺水腫(安静時の息切れや空咳)、高地脳浮腫(運動失調や意識障害) |
少しでも自分の体調に異変を感じたら、必ずガイドやチーフリーダーに相談しましょう。症状には個人差がありますが、多かれ少なかれ誰にでも出るものです。頭痛や吐き気があったからといって、即座に下山、登頂を断念しなければならない、というわけではありません。早めに対処すれば十分続行可能です。最もやってはならないことは、“高山病の症状を隠す”ことです。これをやってしまうと、登頂できないどころか、自分の命を危険に晒すことになりかねません。
高山病対策として、以下の方法があります。これをやっていれば絶対高山病にならない、というわけではありませんが、効果は期待できます。高山病になった時のことよりも、まずは予防方法からしっかり頭に入れておきましょう。
1.水分補給を十分に行う
脱水と高山病に直接的な因果関係はありませんが、水分補給は脱水対策として重要です。
キリマンジャロの様な高山では空気は常に乾燥していて、呼吸も大きく早くなり、知らず知らずのうちに体から水分が呼気や発汗によりにどんどん抜けていきます。5000mを越える高所の登山では1時間におよそ200mlの水分が体から抜けていくと推定されます。体内の水分が不足すると血液の粘土が上昇し血中の酸素運搬が円滑に行われなくなり、また血液が固まりやすくなります。
また、高所ではあまり喉の渇きを感じないことが多いようで、知らず知らずに水分摂取を忘れることが多く、登山者は意識的に水分を取るようにしなければなりません。キリマンジャロでは、行動中は2リットルの水を持ち、それを次のキャンプまでに飲みきるくらいのつもりで調度いいと思います。後は朝食、夕食時にお茶などで水分を十分すぎるくらい補給してください。お湯のおかわりはいくらでもできます。高所では1日3~4リットル以上の水分補給が必要です。
2.ゆっくり登る
単純に言うと行動による酸素消費量が呼吸による酸素供給量を上回らなければ高山病は回避できるはずです。運動量を増やすと酸素消費量も増えるので、とにかくゆっくり歩くことが重要です。急いでもしょうがないのでゆっくりのんびり景色を楽しみながら登りましょう。キリマンジャロではペース作りは基本的にチーフガイドが行いますが、もしペースが少しでも速いと感じたら、無理はせず、ペースを落とすようチーフガイドに「ポレポレー」と伝えましょう。ちょっとペースが遅いな、と感じるくらいで調度いいです。
3.呼吸を意識する
常に深呼吸をしているくらいのイメージでいいと思います。より多くの酸素を体内に吸い込むことを意識して呼吸をしましょう。息を最後まで吐ききるのがコツです。
有圧呼吸法も効果的で、深呼吸の一種ですが、大きく息を吸って、2~3秒息を止めて肺に圧力をかけ、口をすぼめて力強くでもゆっくりと息を吹きだします(ろうそくを吹き消すようなイメージで息を噴出すとその時にも肺に圧力がかかる)。肺に圧力がかかると使用されていない肺胞も膨らみ、より効果的に酸素を取り込むことができる、らしいです。実際に効果があると思います。
4.高所順応があるルート、日程を選ぶ
キリマンジャロは4泊5日~6泊7日くらいでの登山が通例ですが、高度順化的に言うと実は無理があります。1番人気のマラングルートは4泊5日か5泊6日の日程が可能ですが4泊5日だと体の高度順化が追いつかない可能性が高いです。マラングルートなら5泊6日以上を選びましょう。もともとルート上に高所順応が組み込まれている5泊6日のマチャメルート、レモショルートなどもありますが1日の歩程が厳しいので、もう1日延ばして6泊7日で登れば更に効果的でしょう。できる限り余裕のある日程で登ることをお勧めします。
5.高山病薬
高山病薬としてはダイアモックスが最も知られていますが、日本旅行医学会によるとダイアモックスは有効であるようです。予防薬として服用する方法、また治療薬としても服用できますが、手足のしびれなど副作用が出る場合もあり、医師の処方が必要です。
ダイアモックスの処方が可能な病院のリスト ⇒ http://www.jstm.gr.jp/japan_map.html
ちなみに、私はダイアモックスを携帯していますが、実際服用したことはないので、どれほどの効果があるのか体感したことはありません。
効き方には個人差もありますが、ダイアモックスのおかげで高山病の初期症状を免れている人がたくさんいるのも事実のようです。ちなみに、ダイアモックスが有効であるのは軽い高山病の初期症状に対してだけなので、高山病の特効薬と勘違いしないようにしてください。
6.防寒対策
頂上アタックの出発時(夜中0時)の気温はおよそマイナス3度、頂上に着くころにはマイナス10度ほどまで下がります。
体温の低下は血管の収縮の原因となり、血流が悪くなります。酸素を運ぶのは血液です。血流がわるくなれば高山病の悪化につながります。防寒対策をしっかりしていきましょう。頭部が冷えると頭痛になりやすいので、ニット帽をかぶりましょう。
また、就寝時に寒いと体がリラックスできずに疲れも取れません。暖かいシュラフで快適な睡眠をとりましょう。自分のシュラフに不安があれば、レンタルして自分のシュラフと重ねて使えばばっちりです。ホッカイロや、温かい飲み物を持っていくのも効果的でしょう。水筒は湯たんぽにもなります。
休憩の時は体が冷えるので、面倒でもジャケットを着るよう心がけましょう。
キャンプサイトでも体が冷えないように温かい服をいっぱい着て、温かい飲み物をたくさん飲みましょう。
7.下山
高山病の症状がひどい場合、対処方法は下山(高度を下げる)以外にありません。1000メートル程降りればほとんどの場合回復します。
難しいのは下山の判断を下すタイミングです。誰しもが登頂を目指してタンザニアまで足を運んだわけで、こんな所で終わるわけには行かない、そう考えるでしょう。
ですが、決して隠さず、早めにガイド、チーフリーダーに相談してください。ガイドやチーフリーダーも、全員で登頂したい気持ちは同じです。安易に下山の判断を下したりはしないはずです。症状が重くなる前に、早めの相談をすることが大事です。
準備とトレーニング
準備無しのぶっつけ本番という人もたまにいらっしゃいますが、
登頂率を上げるという意味でトレーニングをしておく事をお勧めします。
1.トレーニング
高山病に対するトレーニングは有酸素運動です。
体力不足で、日本の低い山で息切れしているような人がキリマンジャロのような高山で強いなんてことは決してありません。
ジョギングや登山などの有酸素運動を日ごろからやっておくことにより最大酸素摂取量を高めておくと、高所でもよいパフォーマンスを期待できます。
高山病対策としてキーポイントは有酸素運動なので、ウォーキングは(ジョギングに比べて)あまり効果がないようです(体力づくりとしてはオーケー)。
無理しすぎないように、自分のできる範囲で続けることが大事だと思います。
2.高度順応
もうひとつ、高山病に対する準備として高度順化がありますが、
日本では3000メートル級の山に登るか、低酸素室でトレーニングするか、の2択です。
キリマンジャロ渡航の直前に、1泊くらいで富士山に登るのが高度順化のためのトレーニングとしては良いと思いますが、時期の問題もありますので簡単ではないかもしれません。
低酸素室でのトレーニングですが、代々木駅の近くにあるミウラドルフィンズがお勧めです。
低酸素状態を体験しながらとても丁寧に解説していただけます。
私も一度お世話になってみましたが、とても参考になりました。
ミウラドルフィンズのホームページは以下のアドレスです。参考にしてください。
http://www.snowdolphins.com/index.html
キリマンジャロ対策として受けるコースは、4000メートル海外高所テスト(140分)、10000円。
それ以降トレーニングを続けるのであれば、最大6000メートルの低酸素まで対応できるようです。
3.登山者検診
高所では、高齢者は若者に比べ低酸素状態になりやすく、また既存疾患などが有る場合、それが悪化する可能性があります。とくに心臓循環器系、呼吸器系の疾患がある場合は高所での低酸素状態による影響を受けやすいのは言うまでもありません。
高齢者の方は事前にメディカルチェックをしておくことが必要です。
以前私のキリマンジャロ登山ツアーに参加していただいた国際山岳医の市川先生が行っている登山者検診はお勧めです。長野県の松本協立病院です。
→ https://www.chushin-miniren.gr.jp/consult/checkup/climber
既存疾患がある場合は必ず主治医と相談し、主治医からの登山許可をいただいてください。
そして、必ずガイドにその事を知らせてください。
これは倫理上の義務といえます。1個人の疾患がチーム全体に影響し、他のメンバーを危険にさらすことになる可能性があるからです。
健康に関する不安材料はすべて日本で解決してから出発しましょう。
登山ルート
下記のお勧め度などは、それぞれのルートの相対的な評価(しかも私の個人的な好みもあります)なので、☆がひとつだから最悪である、という意味ではありません。どこのルートもそれぞれいいポイントがあるので、自分にあったルートを選んでくださいね。詳しくは表の下の詳細を見てください。
| 登山日数 | 難易度 | 景色 | 入山者数 | お勧め度 | メモ | |
| マラングルート | 4泊5日 | ●●●● | ☆☆ | 多 | ☆☆ | 日数取れない人はこれ |
| マラングルート | 5泊6日 | ●● | ☆☆ | 多 | ☆☆☆ | 定番中の定番 |
| マチャメルート | 5泊6日 | ●●●●● | ☆☆☆☆☆ | 多 | ☆☆☆ | 体力的に厳しい |
| マチャメルート | 6泊7日 | ●●●● | ☆☆☆☆☆ | 多 | ☆☆☆☆☆ | お勧め!! |
| レモショルート | 5泊6日 | ●●●●● | ☆☆☆☆☆ | 少 | ☆☆☆ | 体力的に厳しい |
| レモショルート | 6泊7日 | ●●●● | ☆☆☆☆☆ | 少 | ☆☆☆☆☆ | お勧め!! |
| ウンブウェルート | 5泊6日 | ●●● | ☆☆☆ | 極少 | ☆ | マニア向け(笑) |
| ロンガイルート | 5泊6日 | ●●● | ☆☆☆☆☆ | 少 | ☆☆☆☆☆ | お勧め!! |
| ロンガイルート | 6泊7日 | ●● | ☆☆☆☆☆ | 少 | ☆☆☆☆ | マウェンジ2連泊 |
1.マラングルート
通称コカコーラルートと呼ばれるこのルートは、キリマンジャロ登山中唯一の山小屋完備で最も難易度が低いポピュラーなルートです。
登山道もキレイに整備されていて歩きやすくレスキュー車両もホロンボハットまで 入って来られるので安心なルートです。
降水量の多いキリマンジャロ南側のルートなので植生が豊かで植物が好きな人にはお勧めのルートです。
世界中から集まる登山客のおよそ50%がこのルートから登ります。
日本からのツアーの場合、90%がこのルートでしょう。
ホロンボハットで2連泊して5泊6日で登るのが一般的なパターンです。この場合3日目は高所順応日として、ホロンボハットから少し離れたゼブラロックという場所までハイキングしたりします。
● 4泊5日のスケジュール(高所順応★、体力★★★、難易度★★★★)
DAY 1 : MARANGU GATE (1860m) ⇒ MANDARA HUTS(2700m) 3-4 hours
DAY 2 : MANDARA HUTS(2700m) ⇒ HOROMBO HUTS(3700m) 3-4 hours
DAY 3 : HORONBO HUTS(3700m) ⇒ KIBO HUTS(4700m) 4-5 hours
DAY 4 : KIBO HUTS(4700m) ⇒ GILLMAN’S POINT(5681m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ HOROMBO HUTS(3700m) 15-18 hours
DAY 5 : HORONBO HUTS(3700m) ⇒ MARANGU HUTS(1860m) 6 hours
●5泊6日のスケジュール(高所順応★★★、体力★、難易度★★)
DAY 1 : MARANGU GATE (1860m) ⇒ MANDARA HUTS(2700m) 3-4 hours
DAY 2 : MANDARA HUTS(2700m) ⇒ HOROMBO HUTS(3700m) 3-4 hours
DAY 3 : HORONBO HUTS(3700m)
DAY 4 : HORONBO HUTS(3700m) ⇒ KIBO HUTS(4700m) 4-5 hours
DAY 5 : KIBO HUTS(4700m) ⇒ GILLMAN’S POINT(5681m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ HOROMBO HUTS(3700m) 15-18 hours
DAY 6 : HORONBO HUTS(3700m) ⇒ MARANGU HUTS(1860m) 6 hours
■ ここがお勧め!!
1.ルートがしっかり整備されていて非常に歩きやすい。そのためレスキューも早い
2.水場がキレイ、ルート上に何か所かトイレも整備されている
3.雨の多い南側斜面なので植生がとにかくすばらしい
4.山小屋泊なので、テント泊経験者じゃなくても安心
5.5泊6日で登る場合、日程に余裕があるので登頂を狙いやすい
6.売店でコーラやビールが売っている(今は売ってないかも)
■ ここが残念!!
1.東西南北山容が異なる広大なキリマンジャロにおいて同じルートのピストンは非常にもったいない
2.森林限界以降は非常に埃っぽい。団体客とすれ違う時など、マスクがないと呼吸どころか目も開けられないことがある
3.ルートが整備されすぎていて、かつ単調で長い
4.登山客が多いのと、登りと下りのルートが同じため、時々渋滞する
2.マチャメルート
通称”ウィスキールート”と呼ばれるこのルートは、マラングに続いて2番目に人気のルートで、マラングルートに比べ(体力的に)難易度は高め。山小屋は無く、テント泊の登山となります。
5泊6日で登られることも多いですが、BARRANCO CAMP と BARAFU CAMP の間にある KARANGA CAMP で1泊する6泊7日での日程で登る方がお勧めです。
5泊6日だと頂上アタック前の仮眠がほとんど取れないのでキツイですよ。
登山3日目で4640mのラーヴァタワーまで登り、そこから3960mのバランコキャンプまで下りる高所順応に優れたルートと言えます。
見所が多く、植生も豊かで、岩場などもあり、バランスの取れたキリマンジャロ登山中の鉄板ルートと言っても過言ではないお勧めルートです。
レモショルートを短くしたルートです。
● 5泊6日のスケジュール(高所順応★★★★、体力★★★★★、難易度★★★★★)
Day 1 : MACHAME GATE(1790m) ⇒ MACHAME CAMP(3010m) 4 hours
Day 2 : MACHAME CAMP(3010m) ⇒NEW SHIRA CAMP(3845m) 5 hours
Day 3 : NEW SHIRA CAMP(3845m) ⇒ LAVA TOWER(4640m) ⇒ BARRANCO CAMP(3960m) 8 – 9 hours
Day 4 : BARRANCO CAMP(3960m) ⇒ BARAFU CAMP(4640m) 8 – 9 hours
Day 5 : BARAFU CAMP(4640m) ⇒ STELLA POINT(5730m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ MWEKA CAMP(3080m) 15 – 20 hours
Day 6 : MWEKA CAMP(3080m) ⇒ MWEKA GATE(1630m) 3 – 4 hours
● 6泊7日のスケジュール(高所順応★★★★★、体力★★★、難易度★★★)
Day 1 : MACHAME GATE(1790m) ⇒ MACHAME CAMP(3010m) 4 hours
Day 2 : MACHAME CAMP(3010m) ⇒NEW SHIRA CAMP(3845m) 5 hours
Day 3 : NEW SHIRA CAMP(3845m) ⇒ LAVA TOWER(4640m) ⇒ BARRANCO CAMP(3960m) 8 – 9 hours
Day 4 : BARRANCO CAMP(3960m) ⇒ KHARANGA CAMP(4030m) 4 – 5 hours
Day 5 : KHARANGA CAMP(4030m) ⇒ BARAFU CAMP(4640m) 3 – 4 hours
Day 6 : BARAFU CAMP(4640m) ⇒ STELLA POINT(5730m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ MWEKA CAMP(3080m) 15 – 20 hours
Day 7 : MWEKA CAMP(3080m) ⇒ MWEKA GATE(1630m) 3 – 4 hours
■ ここがお勧め!!
1.とにかく景色が壮大ですばらしい。キャンプ地のロケーションも最高
2.南側斜面をトラバースするルートなので、最初から最後まで植生がすばらしい
3.高度順化が含まれるルートなので難易度が高い割に登頂率も高い
4.マラングやロンガイにはない岩壁登り(バランコウォール)があるので、アスレチック気分を味わえる
5.キボ峰南西壁、ブリーチウォール直下のトラバースは大迫力
6.グレートバランコヴァレーに群生するジャイアントセネシオの群生地はまさに圧巻
7.登りと下りでルートが違います
■ ここが残念!!
1.写真でよく見るようなキボ峰のきれいな台形が見えるポイントが無い
2.欧米人にはかなり人気のルートであるため、テントサイトが込み合うことがある。いい場所がとれないと、斜めの場所にテントを張ることになり安眠ができないこともある
3.5泊6日の日程の場合、登頂アタック前の仮眠を十分取ることができない場合がある(日程に無理がある)
3.レモショルート/ シーラルート
キリマンジャロ中、最も美しいルートと言われているが、キリマンジャロの西の果てから登るため行程が長く、他のルートに比べて体力が必要(日数によりますが)です。
6泊7日がお勧めです。5泊6日で登る場合は、KARANGA CAMP を飛ばして BARRANCO CAMP から BARAFU CAMP まで一気に行く事になります。逆に8日間で登る場合は、BIG TREE CAMP と SHIRA 2 CAMP の間に SHIRA 1 CAMP が入ります。
マラングやマチャメルートに比べてここからの入山者は多くありません。
山小屋は無く、全行程テント泊となります。
LAVA TOWER(4640M) 手前から マチャメルートと合流します。
体力のある方には是非お勧めしたいルートですが、初心者でも日程を長く取れるのであればお勧めです。
●5泊6日のスケジュール(高所順応★★★★、体力★★★★★、難易度★★★★★)
Day 1 : LEMOSHO STARTING POINT(2385m) ⇒ BIG TREE CAMP(2780m) 5 hours
Day 2 : BIG TREE CAMP(2780m) ⇒ SHIRA 2 CAMP(3900m) 9 – 10 hours
Day 3 : SHIRA 2 CAMP(3900m) ⇒ LAVA TOWER(4640m) ⇒ BARRANCO CAMP(3960m) 8 – 9 hours
Day 4 : BARRANCO CAMP(3960m) ⇒ BARAFU CAMP(4640m) 8 – 9 hours
Day 5 : BARAFU CAMP(4640m) ⇒ STELLA POINT(5730m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ MWEKA CAMP(3080m) 15 – 20 hours
Day 6: MWEKA CAMP(3080M) ⇒ MWEKA GATE(1630M) 3 – 4 hours
●6泊7日のスケジュール(高所順応★★★★★、体力★★★★、難易度★★★★)
Day 1 : LEMOSHO STARTING POINT(2385m) ⇒ BIG TREE CAMP(2780m) 5 hours
Day 2 : BIG TREE CAMP(2780m) ⇒ SHIRA 2 CAMP(3900m) 9 – 10 hours
Day 3 : SHIRA 2 CAMP(3900m) ⇒ LAVA TOWER(4640m) ⇒ BARRANCO CAMP(3960m) 8 – 9 hours
Day 4 : BARRANCO CAMP(3960m) ⇒ KARANGA CAMP(4030m) 4 – 5 hours
Day 5 : KARANGA CAMP(4030m) ⇒ BARAFU CAMP(4640m) 3 – 4 hours
Day 6 : BARAFU CAMP(4640m) ⇒ STELLA POINT(5730m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ MWEKA CAMP(3080m) 15 – 20 hours
Day7 : MWEKA CAMP(3080M) ⇒ MWEKA GATE(1630M) 3 – 4 hours
■ ここがお勧め!!
1.キリマンジャロ登山ルート中最も美しいルートと呼ばれ、キリマンジャロ3大ピークのひとつ、シーラ峰(シーラリッジ)を横目に正面にはキボ峰を眺めながらシーラ高地を抜けていく壮大なルートです
2.西側のジャングルからスタートし、下山は南斜面のムウェカルートなので、最初から最後まで植生がすばらしいです
3.スタート地点周辺の西斜面ではサルやカメレオン、時にはゾウに遭遇することもあります
4.途中からマチャメルートに合流するため、マチャメルートの見所、ラーヴァタワー、グレートバランコヴァレー、バランコウォールやキボ峰南壁(ブリーチウォール)直下のトラバースなど見所満載です
5.登りと下りでルートが違います
6.登山ゲートに行く途中でシマウマの群れと遭遇することもあります
■ ここが残念!!
1.他のルートに比べ体力がいります(5泊6日の場合)。7日間の日程にすれば大丈夫。
2.5泊6日だと登頂日の日程に多少の無理があります。
3.天候(雨天)によってはコースタイムが大幅にズレることがあります。
4. ウンブウェルート
初日、2日目は急登続きで体力がいります。このルートはマチャメルートやレモショルートの見どころをすっ飛ばしてショートカットしたようなルートです。
5本のメジャールートの中では最もマイナーで、マチャメルート、レモショルートからのエスケープルートとして、若しくは補給ルートとして利用されることが多いです。
せっかくならマチャメやレモショをお勧めしますが、他人とは違うルートで登りたい人には良いかもしれません。
● 5泊6日のスケジュール(高所順応★★、体力★★★★、難易度★★★★★)
Day 1 : UMBWE GATE(1640m) ⇒ UMBWE CAVE CAMP(2930m) 7 – 8 hours
Day 2 : UMBWE CAVE CAMP(2930m) ⇒ BARRANCO CAMP(3960m) 7 – 8 hours
Day 3 : BARRANCO CAMP(3960m) ⇒ KARANGA CAMP(4035m) 4 – 5 hours
Day 4 : KARANGA CAMP(3960m) ⇒ BARAFU CAMP(4640m) 4 – 5 hours
Day 5 : BARAFU CAMP(4640m) ⇒ STELLA POINT(5730m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ MWEKA CAMP(3080m) 15 – 20 hours
Day 6 : MWEKA CAMP(3080m) ⇒ MWEKA GATE(1630m) 3 – 4 hours
■ ここがお勧め!!
1.5泊6日の日程であれば余裕があり、頂上アタック前夜にしっかり仮眠をとれます
2.南斜面からの登山なので植生がすばらしい
3.マイナーっぷりが心とチャレンジ精神をくすぐります(笑)
4.登りと下りでルートが違います
■ ここが残念!!
1.マチャメやレモショルートを短くしたようなルートなので、ラーヴァタワーやシーラピークなどの見どころは見逃します。
2.初日、2日目はとにかく急登です。体力のある人でないと厳しいです
3.写真で見るようなキボ峰のきれいな台形が見えるポイントはありません
5.ロンガイルート
ナレモルゲートから出発するので”ナレモルルート”とも言います。また、ケニア側(北側)からのルートなので”ケニアンルート”と呼ぶ人もいるようです。
日本からの登山ツアーでは全く無視されて(知らないのでしょう)知名度はほぼ皆無のこのロンガイルートですが、実は最もお勧めしたいルートのひとつです。
キリマンジャロ登山者のおよそ15%がこのルートから登ります。欧米人にはかなり人気のルートで、難易度はマラングルートとほぼ同じであるにもかかわらず、景色は断然ロンガイルートに軍配があがります。
キリマンジャロが最も美しく見えるルートです。また、キリマンジャロ3大ピークのひとつ、マウェンジ峰を経由するので、マウェンジの雄姿を間近で見ることができ、しかも爆裂火山の北側から見ることのできる唯一のルートです。
全行程テント泊で、通常5泊6日で登ります。下山はマラングルートですが、山小屋には泊まれません。
雨の少ない北側からの登山であるため、ロンガイルート上の植生は貧弱ですが、下山は植物が豊富なマラングルートなのでキリマンジャロ特有の花や植物を見逃すことはありません。
● 5泊6日のスケジュール(高所順応★★★、体力★★★、難易度★★★)
DAY 1 : NALEMORU GATE(1990m) ⇒ SIMBA CAMP(2625m) 5 hours
DAY 2 : SIMBA CAMP(2625m) ⇒ KIKELELWA CAMP(3630m) 6 – 7 hours
DAY 3 : KIKELELWA CAMP(3630m) ⇒ MAWENZI TARN CAMP(4310m) 3 – 4 hours
DAY 4 : MAWENZI TARN CAMP(4310m) ⇒ KIBO CAMP(4700m) 4 – 5 hours
DAY 5 : KIBO CAMP(4700m) ⇒ GILLMAN’S POINT(5681m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ HOROMBO CAMP(3700m) 15 – 18 hours
DAY 6 : HORONBO CAMP(3700m) ⇒ MARANGU GATE(1860m) 6 hours
●6泊7日のスケジュール(高所順応★★★★、体力★★、難易度★★)
DAY 1 : NALEMORU GATE(1990m) ⇒ SIMBA CAMP(2625m) 5 hours
DAY 2 : SIMBA CAMP(2625m) ⇒ KIKELELWA CAMP(3630m) 6 – 7 hours
DAY 3 : KIKELELWA CAMP(3630m) ⇒ MAWENZI TARN CAMP(4310m) 3 – 4 hours
DAY 4 : MAWENZI TARN CAMP(4310m) STAY
DAY 5 : MAWENZI TARN CAMP(4310m) ⇒ KIBO CAMP(4700m) 4 – 5 hours
DAY 6 : KIBO CAMP(4700m) ⇒ GILLMAN’S POINT(5681m) ⇒ UHURU PEAK(5895m) ⇒ HOROMBO CAMP(3700m) 15 – 18 hours
DAY 7 : HORONBO CAMP(3700m) ⇒ MARANGU GATE(1860m) 6 hours
■ ここがお勧め!!
1.日程に余裕があるため登頂が狙いやすい。
2.登頂アタック前にしっかり仮眠をとることができる
3.キリマンジャロ第2峰のマウェンジを間近に見ることができる
4.登山2日目、カメレオンがたくさんいる。目を凝らして探しましょう。他の動物にも遭遇できる可能性の高いルートです
5.登りと下りで違うルートなので飽きることがない
6.キリマンジャロの形がもっともきれいに見える北側からのルートである
■ ここが残念!!
1.雨の少ない北側から登るので、ロンガイルート上では植生はあまり期待できない。ただし植生の少なさは、下山ルートのマラングが補ってくれます
2.第1、第2キャンプの水場がトイレよりも下にあるので水質汚染の不安が多少あり、雨も少ないので水の流れが少なく水場の見た目もあまりきれいではない。第2キャンプまでの飲み水はペットボトルで持参した方がいいかもしれません
3.雨が少なく乾燥しているので埃っぽい。マスクがあったほうがいいです
6.ムウェカルート
ムウェカルートは、マチャメルート、レモショルート、ウンブウェルートの下山専用ルートです。
また、
キリマンジャロを1泊2日でやっつけようという鉄人は、このルートのピストンでウフルピークを狙うようです。
7.そのほかのルート
■ ノーザンサーキット : キボ峰の北側を周回するルートです
■ サウスサーキット : マチャメルート、ムウェカルート、マラングルートをトラバースして繋ぐルートです
■ ロンドロッシルート : レモショルートと平行するルートですが、シーラ高地まで車も走れる道路なので面白くないです
■ アッパーマラングルート : ホロンボハットからマウェンジキャンプ(通常のマラングルートでは通らない)を経由してキボハットへ向かうルートです
■ ウェスタンブリーチルート : ラーヴァタワーから頂上へ登るもうひとつのアタックルートですが、崩落事故がよくあるため、お勧めしません。2012年にも崩落事故でアメリカ人が4名ほど亡くなったようです。
登山装備
自分の愛用の装備を持っていく人、今から装備をそろえる人などいると思いますが、レンタルできるものもあるので、それらをうまく併用して安くすませたり、荷物を減らしたりすることも可能です。
夜はかなり冷え込むので、防寒着は多めに持って行くことをお勧めします。
レンタル登山用品は、(かなり)クオリティ低いですが、シュラフとストックに関しては許せる範囲内です。ただし、レンタルシュラフの場合、2枚レンタルして重ねて使用してください。1枚だと寒くて眠れません。
以下、キリマンジャロ登山に必要な装備と、コメントを記載させていただきます。
1.靴、バックパックなど
・ 登山ブーツ : 履きなれたものがいいです。頂上付近はザレている(砂利)ので最低でもハイカットの登山靴にしましょう。富士登山で使用するくらいのものでオーケーです。しっかり防水スプレーをかけておいてください。登山店などで尋ねると例外なく4~5万円くらいする登山靴を勧められるようですが、そんな高価なものは必要ありません。ただし、メッシュ生地のトレランシューズはダメです(砂が入るし、寒さで足が凍ります)。
- バックパック(自分用) : 20~30リッターくらいのサイズでオーケー。水、行動食、昼食、防寒着、レインコート、その他小物が入るサイズでいいです。
- バックパック/スポーツバッグ等(ポーター用) : ポーターに預ける荷物を入れるためのザックです。必ずしもザックである必要はなく、スポーツバッグ等でも大丈夫です。雨対策として、預け荷物はかならずビニール袋や防水スタッフバッグに入れてからパッキングしましょう。
- バックパックカバー : 雨に備えてザックにかぶせるカバーが必要です。もしくは、荷物をすべてビニール袋にいれてからバックパックに詰めれば、カバーは必要ありません。要は荷物がぬれないようにすることが重要です。
- サンダル : キャンプ地でサンダルがあると便利。寒いので、靴下のまま履けるタイプのサンダルで軽量のもの(クロックスなど)がいいと思います。タンザニアまでの飛行機も長いので、機内でサンダルがあると快適です。
2.シュラフなど
- シュラフ : 冬用のダウンシュラフ。モンベルだったらダウンハガー#1以上が必要。#2だと人によっては寒くて安眠できないです。若しくは、夏用かスリーシーズン用くらいのシュラフを持参し、レンタルシュラフと重ねて対応することもできます。冬用のダウンシュラフを持っていない場合は、後者をお勧めします。キリマンジャロ登山だけのために、わざわざ高価な冬用を買う必要は無いと思います。レンタルシュラフの2枚重ねでも十分対応できます。
- シュラフカバー : シュラフと併用します。
- (マットレス) : テント泊のルートではマットレスは必須ですが、テント泊のルートでは無料でマットレスのレンタルがついているのが普通です。ですので、日本から嵩張るマットレスを持って行く必要はありません。ただし、寝心地にこだわる人は自分のマットレスを持参するのもいいかと思います。
参考までに、シュラフに関して今までのキリマンジャロ登山ツアー参加者が使用していたのは以下の通り。
- モンベルダウンハガー#0 : 53歳男性「いやー、快適快適!!」
- モンベルダウンハガーEXP : 37歳女性「ちょっと暑いかな」
- マウンテンイクイップメント・ライトライン : 57歳女性「調度良い温かさ」
- ナンガ・オーロラ900 : 44歳男性「パンツ一丁で寝ても暑い!!」
- ナンガ・オーロラ900 : 36歳女性「寒がりなので調度良い温かさでした」
- イスカ・パフ810 : 38歳男性「シャツ1枚で寝ても暖かい」
- モンベルダウンハガー#2 と 夏用シュラフの2枚重ね : 私「調度いいです」
- モンベルダウンハガー#3 と レンタルシュラフの2枚重ね : 42歳女性「調度よかったです」
- モンベルダウンハガー♯2 : 25歳男性「服をすべて着込んでギリギリ眠れる。寒かった。」
- モンベルダウンハガー#1 : 39歳女性「寒さを感じたので、シュラフ内にダウンやフリースを隙間が無いようにつめてみたら快適に寝られた」
- ナンガ・ナノバッグSPDX720 : 31歳女性「寒かった。テントシューズを履いたり、水筒で湯たんぽにしたり、ツェルトをかけたり、ザックを空にしてシュラフに重ねたりして対応した」
以上、同じシュラフでも感じ方に個人差があるようなので注意。
寒がりな人はハイスペックのシュラフをお勧めします。
3.衣類
雨具 : ゴアテックスのレインコート上下。リーズナブルなミズノのベルグテックとか、モンベルのハイドロブリーズあたりでもオーケー。レンタルの雨具は、防水性のないただのウインドブレーカーだったりするので、雨具に関してはレンタルを考えないでください。ビニール製の安物は、雨で濡れる前に蒸れて汗でビショビショになるのでNGです。
- ダウンジャケット : 軽量のインナーダウンと、寒がりな人は夜用に厚手のダウンジャケットを用意。夜中の気温は- 1℃ ~- 3℃くらいです。
- 防寒着 : フリース、セーターなど。
- ジャケット : ゴアテックスや、ウインドストッパー系の防風ジャケット。レインコートでも代用できるが、別にもう一枚あると安心です。軽量でペラペラのナイロン系ウィンドブレーカーなどもあると便利です。
- シャツ : 長袖2枚、半袖3枚くらいあれば足りるでしょう。速乾性のものを用意してください。
- ズボン : 登山用で速乾性のもの。行動用と、キャンプ地用の2枚。
- ダウンパンツ : キャンプ地で快適にすごしたい方はあったほうがいいかも。
- 靴下 : 分厚い登山用の靴下を5~6枚くらい。日数分でいいと思います。
- 手袋 : 厚手のが1セット(スキー用など)と、薄手を1セット(軍手でも可)。
- 帽子 : 頂上付近は寒いので耳が隠れるニット帽タイプ。日差しも強いので日よけ用の帽子もあったほうがいいでしょう。
- スパッツ / ゲイター : 頂上付近は小石や砂が靴の中に入ってくるような足場が続きます。スパッツがないと厳しいです。
- ネックウォーマー : マフラーとか、首周りの防寒具としてあった方が快適。
4.小物
ヘッドランプ : 夜必須。頂上アタックの日は夜中の出発です。予備の電池を1セット用意しておいたほうがいいでしょう。
- ストック : 行程が長いのでダブルストックをお勧めします。
- ビニール袋数枚 : 絶対に濡れたらまずいものはビニール袋に入れてからバックパックに入れること。雨の程度によってはバックパックカバーだけでは不十分です。
- 折りたたみ傘 : 必須ではないですが、あったほうがいいくらいの雨が降るときもあります。
- サングラス : 頂上付近の紫外線は強烈です。目薬もあったほうがいいです。
- 日焼け止め&UVカットのリップクリーム : 日焼け止めとUVカットのリップクリームは必須。頂上付近では空気が薄いので紫外線が強烈です。特に唇は日焼け対策を怠るとヒビが入って血だらけになったり、腫れ上がったりすることもあります。
- カメラと予備バッテリー : 寒いとバッテリーが弱るのが早いので、予備バッテリーも忘れずに。
- トイレットペーパー : ポーターが用意していますが、自分用にひとつ持っていたほうが安心です。
- ウェットティッシュ : 砂埃で顔が真っ黒になります。顔拭きなどにあると便利。女性の方のアドバイスですが、使用頻度がかなり高く女性は多めに用意したほうがいいとの事です。
- 埃払いブラシ : 必須ではないです。予想以上に埃っぽく、服や靴が砂で真っ白になるので、あるといいかも。100均とかで売ってる安くてコンパクトなやつでいいと思います。
- 行動食 : 日本から買っていった方がいいです。チョコレートとか、飴とか、自分がいつも山に持って行くものを用意すればいいと思います。
- ホッカイロ : 夜寒いのであったほうがいいかもしれません。靴の中に入れるタイプの脚用ホッカイロもあります。
- マスク : マラングとロンガイルートは砂埃がひどい箇所があるので、マスクは必須。
- 水筒 : ハイドレーションシステムでも、ペットボトルでも。途中の水場でポーターが汲んでくるので、各キャンプ地で補給可能です。私はおなかが弱い、など、心配でしたら行動中の飲み水分くらいは市販のペットボトルを買ってポーターに持たせてもいいかもしれません。ポカリの粉とか持って行くと水分補給に良いでしょう。ただし登頂アタック時だけはハイドレーションはホース部分が凍り付いてすぐに使えなくなります。
- サーモス、水筒 : 必須ではありませんが、行動中に温かい飲み物がほしい場合は出発前にキャンプ地でお湯を入れてから出発できます。
- タオル、歯ブラシ : 汗を拭いたり、顔を洗ったり。歯も磨きましょう。キャンプ地でポーターが洗面器にお湯をいれて石鹸と一緒に持ってきてくれます。
- 高山病の薬 : ダイアモックスなど。各自の判断にまかせます。私は使用したことがありません。
- 胃腸薬 : お腹を壊した場合に持っていると助かります。
後は、各自思いついたもの、いつも装備しているものを持って行きましょう。
登山中の食事
登山中の食事はどんなものがでるのか、気になるところでしょう。
ハッキリ言って、十分すぎるくらいの食事がでます。
味はともかくとして、足りないなんてことはまず無いと思います。
食事は利用する旅行会社(値段)によってかなり違うと思います。
私が紹介しているのは、スタンダードな部類の旅行会社を利用した場合の食事を紹介しています。
キャンプに到着すると、コックがお茶とお菓子を用意していてくれます。
飲み物は、インスタントコーヒー、ティーバッグ、ミロ、粉ミルクが用意されています。お湯はポットで用意されていて、なくなればおかわりできます。
お菓子は、ピーナッツ、ポップコーン、ビスケットです。
その後、食パン山盛りとスープが出てきます。これを食べ過ぎるとメインの前におなかがいっぱいになってしまいます。
メインの主食は、ジャガイモ、ご飯、パスタが順番に出てきます。ジャガイモをゆでたものと、ご飯はおいしいですが、パスタは茹ですぎでブヨブヨ&オイリー・・・残念ながらいまいちです。でも山で食べる食事と思えばなかなかなもんです。
おかずは基本的にトマト味です。肉と野菜をトマトで煮込んだもの、野菜を炒めたもの、などがでます。
朝食は、食パン、果物、目玉焼きとソーセージが出ます。
果物は、マンゴー、スイカ、パイナップル、オレンジなどがでます。スイカとかパイナップルを担いで登っているポーターに感謝です。
昼食は、お弁当です。揚げパンかサンドイッチ、ゆで卵、ミカン、などが袋詰めにされて出発時に渡されます。ゆで卵用の塩を入れ忘れることが多々あるので、塩を忘れるなと言っておいた方がいいですよ。
以上、後は写真を見てイメージを膨らませてください。
チップ
ポーター達は恐ろしく給料が安いので、チップにものすごい期待しています。
いくらくらい払えばいいのか、その相場を以下に説明しておきます。
5泊6日の登山の場合
チーフガイド : 160000シリング
サブガイド・アシスタントガイド : 140000シリング
コック・ウェイター : 100000シリング
ポーター : 70000シリング
上記が私が最近(2015年)支払っている額ですが、相場からすると特に多くはありません。
最近はシリング安なので値上がり感はありますが、以前と同じくらいです。
チーフガイドに大目に渡しておくと、他からチップが少ないと不満の声が出そうなときにうまくまとめてくれます。
相場は物価の上昇にともない毎年少しずつ上がっています。
チップ高いなー、と思いつつも、最後まで気持ちよく終わるために上記の金額くらいは渡すようにしましょう。
レスキュー
高山病の症状が重くなった場合や、怪我などで動けなくなった場合はレスキュー要請を出します。
レスキュー費用は入山料に保険が含まれているため基本的には無料です(チップだけ必要になります)ので、必要とあらばすぐに要請しましょう。
レスキューはレスキュー車両による搬送と、1輪車のついた担架での搬送、そして最近はヘリでの救助も始まりました。
レスキュー車両が入ってこられるキャンプ地は、マンダラハット、ホロンボハット、ニューシーラキャンプの3か所になります。この3か所以外の場所で行動不能に陥った場合は、レスキュー車両が入ってこられるキャンプ地まで一輪車担架での搬送となります。
ヘリポートも随所にあり、車両が入ってこられない場所ではヘリ救助を要請することになります。
担架はキャンプ地や下山ルート上の数箇所に設置されていて、そこまではガイドやポーターが肩を貸してくれたり、交代でおんぶして運んでくれます。
1輪車担架はかなりの重量なので、前後左右、最低4人で支えながら運びます。交代要員も一緒に下山するので、ガイドやポーター合計6人~8人程度同行します。
チップは一人当たり2万シリングが妥当です。
ちなみにレスキュー車両の場合はドライバーに2万シリングです。つまりチップは担架の方が高くつきます。
高山病によりレスキューを要請する事態になった場合、そのまま病院に直行するのが理想的です。
病院はキリマンジャロの麓にある、KCMC (KILIMANJARO CHRISTIAN MEDICAL CENTER)です。
24時間開いています。
診察ファイルと診察券を作る初期費用が115ドル(2015年9月)かかります。これは外国人価格です。
例えば、肺水腫の場合、レントゲン検査、注射、薬、酸素吸入で更に70ドル程度かかります。
これだけで終われば総額は185ドルといった感じです。
入院や引き続き検査が必要な場合は、そこから更に費用が嵩みます。
カード払いは可能ですが、万が一に備えてキャッシュは少し余分に持っておきましょう。
帰国後に保険を利用することを考慮に入れて、毎回レシートを貰うようにしましょう。










